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5/26(木)19:30〜 「ホームレス状態にある方にカメラを渡して見えたこと」写真集『アイム』(ライツ社)刊行記念トークイベント

「なんとおもしろい企画だろう」。ホームレス状態の方に『写ルンです®︎』を渡し、思い思いに撮ってもらうというのだ。


撮った写真にはその人の、人生そのものが映し出される。西成で撮影された写真をぼんやり眺めていると、『隙ある風景』(ケイタタ著)と重なる。

意外に良さげな写真が多いことに、正直驚いた。「展示できないか」と版元に相談した。本書の全容を把握していないにもかかわらず、「トークイベントもしたい」とも。そのほうが本書の意図がより伝わるだろうと思ったからだ。

改めてページをめくる。どれも構図がすばらしい。決定的瞬間を撮ったもの、かなりエッジの効いたものも数多い。巻末には、撮影者ひとりひとりのインタビューと、写真の解説がまとめられている。

注目すべきは、多くの撮影者が、携帯電話やデジカメと、『写ルンです®︎』との違いに言及しているところ。〝撮り直せない〟〝フィルムの枚数が限られている〟・・・・彼らはこのアナログ機材と格闘し、丁寧に撮影に挑んだのだ。被写体はビル、商店街、人、動物、植物、朝焼け等、さまざまだ。一枚一枚に、彼(彼女)らの人生が凝縮されている。離れた家族、子ども、故郷、友人、ときに神様を思いながら……。いずれも撮ったその場で、確認することはできない。しかし結果のわからない写真を撮るという、きわめてシンプルな作業を、心から楽しんでいるように思える。


あたりまえの話だが、ホームレス状態の方は自ら好んでホームレス状態にあるのではない。屋根があり、雨風をしのげるところ、あったかいところ、蛇口をひねったら水が出るところで暮らすのがいいに決まっている。

冒頭に「意外に良さげな写真が多いことに、正直驚いた」と書いた。これはどこかホームレス状態の方を見下すような感情が含まれてはいなかったか……?蔑んだりはせずとも「自分とは関係のない、違う世界の話だと思い込んでいないか?」モヤモヤした気持ちが、『アイム』を読んで浮き彫りになる。自分が情けなくなった。撮影者のことばから「誰もがホームレス状態になる可能性がある」のだと思い知らされる。

─「自己責任なんだけどね」と彼らは言う。しかし果たしてそうなのだろうか?「分配なくして成長なし」でも「成長なくして分配なし」でもどちらでもいい。誰もが尊厳を持って生きることができる世の中が正しいのではないか。

今回の展示、トークイベントにぜひお越しください。お待ちしております。
                                   

スタンダードブックストア 中川和彦

ホームレス状態の方と関わっているとしばしば「あの人、しゃがみこんでホームレスの人と話してるよ」「なんであんな人らにお弁当を渡しているんやろう?」という声が聞こえ、居心地の悪さを感じる。ホームレス状態の方は日々この視線や言葉を浴びていると思うと暗澹たる気持ちになる。この居心地の悪さは、社会がホームレス状態の方に対し、またその支援者に対して抱いている印象を象徴するものである。この写真集に触れて新たな視点を持つ人が増え、ホームレス問題に対する考え方に広がりが生まれることを願ってやまない。

「Homedoor」事務局長 松本浩美さん

アイム』制作の意図

彼らの世界をみる視点が、世界が彼らをみる視点に変化を与えることを願って


● 視点を変える

わたしたちは2017年からホームレス状態の人たちにカメラを渡し、日常を撮影してきてもらうという活動を続けてきました。

それぞれの視点で切り取った日常の風景には、独自の世界が広がっています。いつもの川沿いのベンチから見る朝焼け、夜の公園、隣人の昼寝。レンズを通してのぞいた視点がそのまま、そこにあります。

また、撮影された写真にはしばしばストーリーが存在します。

たとえば「なぜこの写真を撮ったのか?」と質問すると、昔自分が大工として働いていた頃に建てたビルだったり、よく休憩をする公園に置いてあるオブジェだったり。1枚の写真から背景にある思いもよらぬストーリーが浮かび上がります。

「ホームレス」は状態を指し、人に対して使う言葉ではないため、本書ではホームレス状態にある人もしくはカギカッコつきの「ホームレス」と表記を統一しています。

『アイム』というタイトルには、「ホームレスという1つの人格はない」というメッセージを込めました。

撮影者ごとにページブロックが分かれているこの写真集の特徴を示した言葉にもなっています。


● 誤解と偏見を解消する

このプロジェクトの核は、ホームレス問題について「まず、知ってもらいたい」ということにあります。

ホームレス問題は、ほかの社会課題に比べて支援金が集まりにくいという傾向があります。

なぜなら、よく「ホームレスになるのは自分の責任だ」と思われてしまうからです。

しかしながら、ホームレス状態に陥るきっかけは、突然の病や失業、介護離職による困窮、人間関係の悪化など、誰にでも起こりうる出来事がほとんどです。

わたしたちは、写真集を通して多くの人がホームレス状態にある人たちの視点や声に触れるきっかけをつくることで、新たな理解を促し「誤解と偏見」を解消する機会をつくりたいと切に願います。

そして、本の売上はHomedoorから、ホームレス状態の人たちへの支援に役立てられます。


● 新しい支援の形をつくる

「路上での生活って、心が死んでいくんです。1日がね、違った意味で『時間との戦い』なんです。 早く日が暮れてくれへんかなーって。 路上で生活してることを恥ずかしいと思っていたし、人目も気にしていた。でもカメラを託されて、心が死んでいた生活の中に、生きる目的が生まれたんです。」 (朝日新聞の記事より、撮影者のインタビューの一部より抜粋)

「ホームレス状態にある方にカメラを渡して見えたこと」写真集『アイム』(ライツ社)刊行記念トークイベント

会場スタンダードブックストア2Fギャラリー
日時5月26日(木)19:30〜 /21:00頃終了予定
出演松本浩美(認定NPO法人Homedoor 理事兼事務局長)
加藤さん(撮影者・50代)
料金¥1,650(¥1,500+税)
ドリンクは付いておりません。
*定員になり次第締め切りとさせていただきます。
予約(1)来店 2Fレジカウンターへ
(2)電話 06-6796-8933
(3)E-mail info@standardbookstore.com
   ❶イベント名 ❷お名前 ❸お電話番号 ❹人数をお送りください
(4)通販(手数料含み1,850円)
スタンダードブックストアBASE https://standardbook.thebase.in/items/61609760
認定NPO法人「Homedoor」

「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくる」ことを目指し、2010年に大阪で設立。個室型シェルターの運営、シェアサイクルでの就労支援等などを行い、年間約1000名の新規相談に対応。2017年に認定NPO法人に認定。

登壇者 松本浩美(まつもと ひろみ)

認定NPO法人Homedoor 理事兼事務局長 12歳で大阪市西成区(釜ヶ崎エリア)を初めて訪れ、ホームレス問題を知る。以降、日本の貧困問題について関心を持つようになる。大学で社会起業を学ぶ傍らHomedoorの活動に参加するようになる。大学在学中の2012年秋、Homedoor理事兼事務局長に就任し現在に至る。1992年大阪市生まれ。

登壇者 加藤さん(50代)

大阪出身。2020年の年末に働いていた北陸地方の運送会社がコロナで倒産し、職を失う。地元に戻り野宿生活をしていたところ、写真集の取り組みを夜回りで知り、2021年5月にHomedoorに来所。現在はHomedoorの基幹事業でもあるシェアサイクルHUBchariにてトラック運転手として活躍中!

編集部
編集部

作り手の思いとしては、今までホームレス問題に興味のなかった人に写真や写真集という入り口を通して知ってもらいたい、という部分が大きいです。写真やインタビューで個人個人の人となりが伝わればいいなと思っています。なので今回販売だけじゃなくて展示やトークイベントをしてもらえることがめちゃめちゃ意義あるなと感じています。撮影者の方も交えて楽しく話すということだけで、すごいことやなぁと。