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【EVENT】3/30(木)19:30 大森克己『山の音』トーク& 3/29-4/2 大森克己写真展『山の音』

写真家の大森克己さん初のエッセイ集『山の音』発売と同時にスタートした全国ツアー。東京は浅草、渋谷、新井薬師、さらには京都、浜松に続いて、いよいよ大阪へ!


「写真が上手いってなんだ? いい写真ってなんだ?」をテーマに、大森克己さんが写真について、ゆるやかに愉しく話します。写真のことがわかりません、というあなたにおくるビッグ・サーズディ!スライドショー『山の音』の上映もあります。

同時に写真展『山の音』も開催します。日々の暮らしの中で出会う光とかたちと言葉。人生の1度きりの連続を体感してください!

「そもそも写真を撮るということは、何かのついでにすることで、まず人生が先にあって、天気がいい日にピクニックに行って、友人や家族の写真を撮るとか、山に登ったら可憐な花が咲いていてそれを誰かに伝えずにはいられないとかそういうことだよね。かけがえのない時間の断片がキラキラと光り輝いて、この世界は素晴らしい! 僕はいま、生きている。

 でも写真という道具というか、メディアはなかなか恐ろしいもので、写真があろうがなかろうが自分にとってかけがえのない瞬間なんてそんなに無闇矢鱈とあるはずもなく、自分が撮ったイメージであれ、他人がつくったイメージであれ、世の中に写真の数が増えるにつれて、どんどんかけがえのなさが大安売りみたいになってきてちっとも嬉しくない。自分がいま、ここで「見ている」ことも誰かに操作されているような気がしてくる。まったくセクシーじゃないね、この有様。

 脱出するためには歩くこと。イメージに言葉が追いつかないとき、幸せだなと思えれば僕は写真家だし、孤独だなと思えれば詩人になる。そして歩き続けていると、イメージと言葉の背後から音楽が立ち上がって僕を通り越していく。2時間、3時間、まだもう少し。

 東京散歩の途中で、僕が立ち寄りたいのは原宿駅からほど近い明治神宮の御苑。武蔵野の面影を残す大きな雑木林のある公園。池のほとりに佇んで風や鳥や虫の声に耳を澄ましていると自分の中のいろんな感度が上がってくる。野生の直感と率直に向き合いながらも街の息づかいが感じられ、自然の織り成す音の間からときどき山手線のチャイムや人のざわめきが聴こえてきて、自分がまるで都会に初めてやってきた木こりや猟師みたいになっていく。

 地下鉄の駅でもコインランドリーの前でも突然動物と遭遇するように世界を見る。夕立ちの後の道路の匂いとかロゼワインの入ったグラスに映る逆さまの世界とか、キラキラ光る川面とか、結局のところ、それは繰り返しだし、また初めてのことでもある。死んでみたり、生き返ったり。止まったり、また歩いたり。」
–––––––大森克己『山の音』(プレジデント社)より

会場スタンダードブックストア2Fギャラリー
日時3月30日(木)19:30〜 /21:00頃終了予定
出演大森克己
料金¥1,650(¥1,500+税)
*ドリンクは付いておりません。各自1Fカフェでお求めください。
*定員になり次第締め切りとさせていただきます。
予約(1)来店 2Fレジカウンターへ
(2)電話 06-6796-8933
(3)E-mail info@standardbookstore.com
   ❶イベント名…大森克己『山の音』トーク ❷お名前 ❸お電話番号 ❹人数をお送りください 
(4)通販
スタンダードブックストアBASE でお買い求めください。
大森克己|おおもり・かつみ

写真家。1963年 神戸市生まれ。フランスのロックバンド Mano Negra の中南米ツアーに同行して撮影・制作されたポートフォリオ『GOOD TRIPS, BAD TRIPS』で第9回写真新世紀優秀賞(ロバート・フランク、飯沢耕太郎選)を受賞。これまで発表した写真集に『very special love』、『サルサ・ガムテープ』(以上リトルモア)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)、『心眼 柳家権太楼』(平凡社)などがある。近年の主な個展に〈すべては初めて起こる〉(ポーラミュージアムアネックス/2011)、〈sounds and things〉(MEM/2014)、〈山の音〉(MEM/2022)など。参加グループ展に〈Gardens of the World〉(Rietberg Museum, Zurich/2016)、〈語りの複数性〉(東京都公園通りギャラリー/2021)などがある。写真家としての作家活動に加えて『dancyu』『Switch』『POPEYE』『あまから手帖』などの雑誌やウェブマガジンでの仕事、数多くのミュージシャン、著名人のポートレート撮影、エッセイの執筆など、多岐に渡って活動している。『山の音』は初の文章のみの単著となる。