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【EVENT】3/24(金)19:30 『本屋で待つ』(夏葉社)刊行記念、佐藤友則x中川和彦トーク

「なんで本屋をやっているのか?」と問われると「親父が死んだから」と答えるしかない。高校生の時付き合っていた彼女に「年にどれくらい本を読むの?」と聞かれて「1冊読むかどうかやなあ」と答えて呆れられたことがあるくらい本を読まなかったし、大学の近所にあった行きつけの喫茶店のママさんに、父親が本屋を始めたので本屋に就職すると伝えたら「中川君は客商売に向いてないよ」と言われたので、まともな接客ができないタイプだったはずで、どう考えても本屋には向いていなかった。しかし父親が癌に冒され余命宣告を受けていたのでとにもかくにも大学卒業後、取次(本の問屋)の紹介で本屋に努めることとなった。私以外の新入社員は高卒で一浪の私とは5つも歳が離れていて話は合わないし、何より本屋の仕事が面白いとは思えなかった。その本屋の専務は私の高校の先輩で、ご自身と同じ経験を積ませようと私をまずは学参の売場に配属した。学参は毎日新刊が出るような売場ではなく地味で、与えられた仕事はすぐに終わるし、5月には本屋を辞めたくなっていた。取引先である取次の紹介なのでさすがに数か月で辞めるわけにもいかず1年は我慢しようと決め、ちょいちょい二日酔いで酒臭い息を吐いては主任に注意されながら惰性で生きているような日々を過ごした。ある時売場で高校生から本の問い合わせがあった。エール出版かどこかの受験術の新書版を見せながら、そこに掲載されている参考書を扱っているか?というものだった。聞いたこともない出版社で扱っていなかった。「扱っていません」と答えるしかなかったが、その言葉がやけに重くのしかかった。数社取引している取次の中で学参に強い宮井書店の担当者に聞くと仕入れることができるということがわかり、すぐに仕入れて平積みした。果たして売れるのか?と思っていたら飛ぶように売れた。近所の書店には置いていなくて、おそらく梅田に出ないと手に入らなかったからだ。自分で意思を持って仕入れた本は初めてで、売れるということがこんなにも快感で、うれしいことなのを知った。仕事が面白くないのは自分の仕事に対する姿勢のせいで、日々惰性で勤務時間を無駄に過ごしていたことを悔いた。結局は「設計事務所という世界を覗いてみたい」という欲求に抗えず1年で本屋を辞めることになったのだが、本屋の態をなしていない父親の会社に入社後その本屋での経験がどれだけ活きたかわからない。あの朱色の表紙が今でも目に焼き付いている。高木書店の「化学」に出会わなかったらどんな人生を生きてきたのだろう?『本屋で待つ』を読んで、40年近く前にタイムスリップした。

佐藤さんとは本当に久しぶりにお会いする。楽しみで仕方がない。きっと楽しいトークになります。ぜひご参加ください。

本屋で待ってます!!

スタンダードブックストア/中川和彦

本屋で待つ/佐藤友則・島田潤一郎(夏葉社)

人口約7000人の町にある「ウィー東城店」。
老舗書店の長男だった佐藤さんは、町民の相談ごとに耳を傾け続ける
ことで、赤字続きだった店を立て直します。

「電化製品がこわれた」
「年賀状の字がもう書けない」
「普通免許をとりたいけど、母国語のポルトガル語しか読めない」

町の人びとは、本屋へ行けばなにかヒントがある、と考えて、
本屋にやってきます。
その本にたいする信頼、そして本を売る人への信頼が、ウィー東城店を
特別な店に変えていきます。

本書が感動的なのは、ウィー東城店が町の人びとの相談ごとのひとつとして、
次々に学校へ行けなかった若者たちを雇用し、彼らが社会へ出るための
後押しをしていることです。
本のある場所で、本を求める人と会話することが、若者たちの心を少しずつ
癒やしていきます。
本書はその貴重な記録でもあります。

装画・挿絵はマンガ『急がなくてもよいことを』が好評なひうち棚さん。

会場スタンダードブックストア2Fギャラリー
日時3月24日(金)19:30〜 /21:00頃終了予定
出演佐藤友則
中川和彦(スタンダードブックストア)
料金¥1,650(¥1,500+税)
*ドリンクは付いておりません。各自1Fカフェでお求めください。
*定員になり次第締め切りとさせていただきます。
予約(1)来店 2Fレジカウンターへ
(2)電話 06-6796-8933
(3)E-mail info@standardbookstore.com
   ❶イベント名…『本屋で待つ』(夏葉社)刊行記念、佐藤友則x中川和彦トーク ❷お名前 ❸お電話番号 ❹人数をお送りください 
(4)通販
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