スタンダードブックストア合同会社
店舗運営統括責任者 中川和彦
2023年春─大阪天王寺閉店、現在、ONLINE販売のみ(新店舗さがしてます)。
「本屋にでも行くか」そんなとき
『自分たちが行きたくなる本屋をつくろう』、スタンダードブックストアここから出発しました。早いもので16年になります。
規格外にならざるをえなかった
従来の、蛍光灯の光がまぶしく、よくわからないBGMがかかり、ポスターがベタベタと貼ってあるような店内、画一的な品揃えの書店が、僕はどうしても好きになれませんでした。心斎橋のお店(2019年閉店)の照明はペンダントライト、床にはカーペットを敷きました。必要以上にかっこつけない、気取らない、入りやすい雰囲気にしたかったのです。自分なりの、オルタナティブな場をつくりたかったのでしょう。本屋は、誰もが気軽にふらっと立ち寄れ、店員はほとんど声を掛けることがないのでゆったりと時間を気にせず過ごせ、何も買わなくてもほとんど罪の意識を感じることなく出て行くことができる素晴らしくて稀有な場所であるべきです。
『本屋にでも行くか』これだけで大丈夫。本屋へ行くのに大げさな目的は必要ありません。本屋は町の余白、隙間のような場所として存在するべきなのです。本屋のない町を想像すると、ちょっと息苦しくなります。この気楽さをもっと有効に使う方法があるんじゃないだろうか、僕はもう長いことそう思い続けています。
さて、どんな店にすればいいのだろう
心斎橋で店を始めた当時『本屋ですがベストセラーはおいてません。』を掲げ、自分たちの視点で本をセレクト、従来のカテゴリーにこだわらない陳列を心掛けました。本に限らず一緒に置いても違和感のない商品をセレクト。目的もなくふらっと立ち寄ったとき、思いもかけない本や雑貨との出会いがあるような店を目指したのです。日本では、自宅も含め、ゆっくり、のんびり読書できる空間があまりありません(図書館は静かすぎて、独特の緊張感があると個人的には感じていましたので)。しかし2019年に閉店、天王寺にて再出発することになります。
大阪・天王寺での再出発
ここ天王寺で営業を再開し、2年が過ぎました。コロナ禍を経て、自分たちの役割にも変化が訪れています。この店をもっともっと街に開放し、みなさまに使っていただきたい!そんな気持ちが今、とても強くなっています。これはスタンダードブックストアを始めた頃から、変わらず抱いている理想でもあります。あらゆる垣根をなくしたい!2022年は、「ひとの居場所をつくる」ためにできることを、もっともっと、深く掘り下げて行こうと思っています。
偶然出会う─カフェ&イベント
カフェでは極力添加物、うまみ調味料を使わない安心できるメニューをご用意しています。僕たちは毎朝、出汁をとる作業からスタートします。〝一番だし〟だけを使ったお味噌汁を食べてもらいたい、ただそれだけ。カフェやイベントスペースでは、著者や編集者、読者の方々が直接コミュニケーションを図ることのできる企画を開催しています。会社帰り、学校帰り、買い物の途中、散歩の途中、ふらっと立ち寄っていただくと、ふわっと気持ちがリセットできるような、自分を取り戻せるような、そして店を出るときには清々しい気持ちになれるような、店を目指して、日々精進しています。みなさまのお越しを、心からお待ちしております。中川和彦