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【イベントレポート】STANDARD TALK31『心斎橋メリーゴーランド 歌人鈴木晴香と語る短歌、恋愛…』

月に一度ゲストをお招きして心斎橋パルコで『STANDARD TALK 』を開催しております。8/31(木)のゲストは歌人の鈴木晴香さん。刊行されたばかりの木下龍也さんとの共著「荻窪メリーゴーランド」がとってもチャレンジグな企画でお話を伺ました。

鈴木さんの装いと全く不釣り合いですみませんでした。

鈴木晴香さんに初めてお会いしたのは確か2016年の春。当時関わっていた森ノ宮のまちライブラリーのイベントでした。その後彼女の初めての歌集「夜にあやまってくれ」が刊行した際にスタンダードブックストアトア心斎橋でフェアを開催。彼女の歌集は天王寺でも扱っておりましたが、久しぶりにお会いしました。

チャレンジングな企画「荻窪メリーゴーランド」。編集者の藤澤千春さんは鈴木さんがおっしゃるようにエネルギッシュという言葉がピッタリ。ほのぼのとした恋愛ストーリー展開ではなく、なにか新しいものをつくろう!と、ミステリーの要素を注入し謎めいたストーリーになっています。トーク参加者からも読み進むほど訳がわからなくなる、戸惑うという意見もあり、それは私も同様で、頭の中で「なぜ?」「どういうこと?」が蠢いておりました。

荻窪メリーゴーランド」はwebで一年間連載し、その後単行本になりました。『webでは横書きで歌が連続していて次の歌が目に入り全体の流れに目がいく。単行本になると縦書きで1ページに1首。1首1首に向き合え、楽しむことができます。ページの余白が大きい分だけ想像を膨らますことが可能。』と鈴木さんがおっしゃいました。頭の中が混乱することは悪いことではなく、想像力がはぐくまれるということかもしれません。むしろ混乱を楽しむことが大事だと考えることにしました。実はこの本には2種類あり、通常版に加え豪華布張りの特装版があり、この物語の仕掛けやたくらみを記述した袋綴じ小冊子が付いています。言ってみればこの小冊子が解答例かもしれませんが、答えは一つだけではありませんし、いくらでも想像力を膨らませ、個人個人で悩みながら楽しむことができると言えます。通常版で想像の世界に入り込むのもいいのですが、個人的には特装版の「解答」を見たい気もしております(笑)

チャレンジグな企画ゆえに鈴木さんはなかなか苦労されたようです。短歌は「わたくしの文学」、通常は自分自身のこと、自分の想像したことを詠います。自分の思い通りに、自分の気持ちを好きなように詠うわけです(ちなみに鈴木さんは本来暗い歌を好むそうです)。今回はプロット、ストーリーが決められていて、物語を進めないといけないし、物語の主人公になりきって詠わないといけません。ということは普段つくらない歌もつくるということになり相当ストレスを抱えたとのことでした。木下さんからのボールをどう打ち返すか?それはいつもより焦点が近い感覚で、緊張感と驚きを持ちながら主人公と一緒に歩む感覚だったそうです。そんななか自分らしさをどう表現することができるのか?完成してはじめてそこに新しい自分を発見されたようです。ちなみに木下さんは本来恋愛の歌はあまり詠まれないようなので今回はレアケース。「あなたのための短歌集」を刊行されているようにその人になり代わって詠うのを得意としています。鈴木さんは「あなたのための短歌集」は彼にしかできない歌集だとおっしゃてました。むしろ自分自身の歌はあまり詠えないようです。対象的ですね。

鈴木晴香さんには、関西出身の歌人の歌もご紹介いただきました。大阪出身の俵万智さん…私が父に後を継いで髙島屋で本屋始めた年に「サラダ記念日」が刊行され、めちゃくちゃ売れていました。岡山出身の大森静佳さん。京都出身の多賀盛剛さん…ナナロク社 第二回あたらしい歌集選考会で岡野大嗣さんが選出。


『いくらでも想像力を膨らませていろんな読み方をしてほしい』さらに『読者がどういう風に読まれたのか教えてほしい』と鈴木さん。いつか「荻窪メリーゴランド」を読んだ方を集めてイベントをしてみたいです。

スタンダードブックストアトア / 中川和彦

【関連書籍販売…通販】数に限りがある貴重なサイン本、特装版も多いのでお早めに!!

【数量限定特装版】特装版荻窪メリーゴーランド

【Wサイン本】『荻窪メリーゴーランド』木下龍也・鈴木晴香サイン本

パリ短歌2020|パリ短歌クラブ(鈴木晴香さんの歌、エッセイ掲載)

【サイン&直筆短歌入本】あなたのための短歌集|木下龍也

【サイン本】多賀盛剛『幸せな日々』

ナナロク社第二回 あたらしい歌集選考会の記録

ナナロク社 第一回 あたらしい歌集選考会